建設汚泥リサイクル指針

 「建設汚泥リサイクル指針」講習会Q&A(H11.12~H12.2)

総論

【総論】適用範囲 民間工事においても本指針を利用できるのか。
本指針では、廃棄物処理法に従って建設汚泥を適正にリサイクルするための考え方及び留意事項を示している。したがって、本指針は公共工事、民間工事の別なく適用できるものであり、民間工事においても本指針を利用して建設汚泥の適切なリサイクルが図られることを期待したい。
【総論】適用範囲 処理の過程で有害物質が発生するとは具体的にどのような場合か。
セメントあるいはセメント系固化材で建設汚泥を安定処理する場合、処理土から土壌環境基準以上の六価クロムが溶出する可能性があり、建設省の通達により平成12年4月以降の公共工事では六価クロムに関して処理土の安全性の確認が必要になった。
参考)「セメント及びセメント系固化材の地盤改良への利用及び改良土の再利用に関する当面の措置について」(平成12年3月24日付建設省技調発台48号)
【総論】汚泥定義 p10の図の泥土と建設汚泥の関係はこれでよいのか。
泥土と建設汚泥の関係は基本的には図のとおりである。本指針では泥土をコーン指数200kN/m2未満の土としている、一方、建設汚泥に関しては「建設廃棄物処理指針」では含水率が高く粒子が微細な泥状のもので、その泥状の状態とは標準仕様のダンプトラックに山積みできず、また、その上を人が歩けない泥状の状態のものとしており、強度指標でコーン指数が概ね200kN/m2以下、一軸圧縮強度が概ね50kN/m2以下と定義している。
【総論】汚泥定義 泥土であり、浚渫土、建設汚泥に該当しないものとは具体的にどのようなものか。
軟弱地盤のオープン掘削により発生する掘削物、オーガ先行油圧ハンマー工法、中掘り工法,泥水を使用しないアースドリル工法、ベノト工法等から発生する掘削物等などの事例がある。
【総論】汚泥定義 ベントナイトを含む掘削土は建設汚泥になるのか。
ベントナイトは粘土鉱物の一種であるモンモリロナイトを主体とする岩石で、通常粉砕されて販売されており、建設分野以外でも広く利用されている天然資源である。
「建設廃棄物処理指針」では、建設汚泥の判断に関して掘削物が泥状を呈するか否かという物理的な性状を判断基準としており、ベントナイト等の含有成分は基準になっていない。同指針のp127のアースドリル工法の例示においても、ベントナイトが含まれる掘削物でも泥状を呈さない場合は土砂としている。
したがって、ベントナイトが含まれる掘削物がすべて建設汚泥になるわけではない。なお、同指針p7に記述しているようにベントナイトのおよびCMCの安全性は確認されている。しかし、従来はこれと異なる指導をしてきた都道府県等もあるので、所管部局に確認する必要はある。
【総論】汚泥定義 中間処理施設から出た段階で建設汚泥の基準(コーン指数等)をクリアしていれば、
建設汚泥でないといえるのか。
中間処理施設は廃棄物の『処分』のための処理施設であり、処理されたものが基準をクリアーしていても建設汚泥(産業廃棄物)であり、その取り扱いは廃棄物処理法の適用を受ける。しかし、処理されたものが有用物(有価物たる性状のもの)あるいは有価物となり、「自ら利用」あるいは「有償売却」による利用が確実な場合は、廃棄物(建設汚泥)には該当しない。
【総論】汚泥定義; 濁水処理プラントから出る脱水ケーキを他の盛土材に混ぜ現場内で盛土材として
利用することは廃棄物処理法上問題はないのか。
まず、濁水処理の脱水ケーキが建設汚泥(廃棄物)に該当するか否かの判断が重要である。現状では,濁水が発生する工種等により都道府県等の判断が異なっているようなので、所管部局に確認する必要がある。その結果、建設汚泥(廃棄物)に該当しないと判断される場合、その利用は問題はない。建設汚泥に該当する場合は、目標強度を定め、十分な品質管理を行い有用物に該当するよう改質して「自ら利用」により利用する。「自ら利用」する場合の留意事項に関しては本指針p28を参照のこと。
【総論】汚泥定義 河川やダム湖を浚渫したものは、ダンプ運搬できなかったり、
その上を人が歩けない場合でも建設汚泥ではないのか。
厚生省通知により浚渫土は廃棄物処理法の適用外であり、その性状に関わらず廃棄物には該当しない。(本指針p89、環整第43号参照)
【総論】汚泥定義 ケミコパイル工法で改良された地盤の掘削土を残土として搬出しているが、問題はないか。
石灰等が混合しpHが高い土であっても廃棄物処理法は適用されない。しかし、このようなpHが高い土を処分場への搬入したり土質材料等として利用する際には生活環境保全を考慮した取り扱いが必要となる場合がある。
【総論】コスト 建設汚泥をリサイクルする場合、リサイクルするほうがコスト高になる場合も
あると思われるが、そのような場合の判断基準はあるのか。
具体的な判断基準はないが、長期的な資材の需給,処分場の確保等を念頭においた行政課題として検討していただきたい。
【総論】利用の考え方 建設汚泥のリサイクルにおいてストックヤードの活用は廃棄物処理法の適用を
受けるのか。
無処理の建設汚泥や「個別指定制度」及び「大臣認定制度」で利用される建設汚泥の処理土のストックに関しては、法の適用を受ける。また、有用物あるいは有価物としてリサイクルする「自ら利用」「有償売却」の場合の処理土に関しては法の適用は受けない。(同指針p21参照)
【総論】利用の考え方 「有価物と称して売却先の決定していないものをストックヤードに貯蔵しては
ならない」とあるが、焼成処理、高度安定処理を行ったものも同様か。
本指針の適用対象は建設工事であり、中間処理業を対象としたものではない。
なお、問いについては本指針に示すとおりであり、法の適用を逃れるために「有価物」と称して売却先が決定していないものをストックヤードに貯蔵してはならない。ただし、焼成処理、高度安定処理、溶融処理等により付加価値が高い製品となり一般市場に流通可能なものについてはこの限りでなく、都道府県等の指導のもとに運用されることになると考えられる。
【総論】利用の考え方 本指針で示されている「有用物」「有価物」の根拠は何によるのか。
・有用物:
「建設廃棄物処理指針」p85図1(本指針ではp96)では、"占有者が自ら利用し、又は他人に有償売却できるもの"と示されている。また、同指針p70、「9.再生利用(1)自ら利用」において、自ら利用できるものは他人に有償売却できる性状のもので利用用途に応じた適切な品質を有しているものとしている。以上から有用物とは他人に有償売却できる性状のものをいい、利用用途に応じた適切な品質を有しているものと解釈できる。
・有価物:
「建設廃棄物処理指針」p85図1及びp70「9.再生利用(2)有償売却」に示される内容から、有用物のうち実際に売買されるものが有価物に該当する。
【総論】利用の考え方 有用物の具体的な判断基準はあるか。
本指針では、有用物(利用用途に応じた適切な品質を有しているもの)の判断基準として「適用用途標準」(本指針p43)を示している。しかし、都道府県等によっては独自の基準を示している場合もあるので(現時点では北海道及び宮崎県の事例がある)、所管部局に確認することが必要である。
【総論】利用の考え方 要求品質を満足するための処理は廃棄物の処理に該当しないと考えて良いのか。
建設汚泥は一体となる掘削のシステム(本指針p87参照)から排出された時点で廃棄物となるので、その後処理して利用する場合でもその処理は廃棄物の処理に該当する。従って、処理施設の種類、規模に応じて施設の設置許可が必要になる。
【総論】利用の考え方 再資源化施設と中間処理施設はどのような関係になるのか。また、再資源化施設を通った建設汚泥は廃棄物とならないのか。
再資源化施設とはリサイクル法で示される概念であり、"建設工事に係わる再生資源を利用するために必要な加工等を行う施設を言う"と示されており、特に許可基準等はない。また、「建設副産物適正処理推進要綱」の解説では、建設発生土の土質改良プラントに加えて、建設廃棄物である建設汚泥の改良、廃木材のチップ化、コンクリートの再生砕石化、建設混合廃棄物の破砕・選別を行う施設などを例示している。
一方、中間処理施設とは廃棄物処理法で規定される施設であり、施設の種類・規模に応じて設置許可が必要である。建設汚泥の焼成、固化、脱水、乾燥等は産業廃棄物の中間処理に該当するため、建設汚泥の再資源化は実質的には中間処理施設で行われ、処理された建設汚泥は有償で売却されない限り廃棄物である。
【総論】利用の考え方 処理施設の能力の算出方法が知りたい。
本指針p16の注1を参照のこと。
【総論】利用の考え方 工期の短い工事では、リサイクルのための諸手続が間に合わないのではないか。
手続きを短期間にスムーズに進めるためには、企画設計段階における発注者の積極的な関わりが重要である。(本指針p20~22参照)
【総論】利用の考え方 産業廃棄物処理業の許可を持つ中間処理施設に建設汚泥の処理を委託する場合、排出者にとってリサイクルになるのか。
再資源化を行う処理業者に優先して委託することは、リサイクルに貢献すると考えられる。
【総論】汚泥定義 建設汚泥を脱水処理(機械式脱水)したものは産業廃棄物でなく、安定処理(セメント等で固化処理)したものは産業廃棄物なのか。
処理の方法に拘わらず、処理土が有用物、有価物として自ら利用あるいは有償売却されない限り産業廃棄物である。従って、脱水処理された処理土が産業廃棄物に該当しないということはない。
【総論】利用の考え方 脱水処理設備の処理能力(設備)を工事完了のため一部撤去する予定であるが、県への申請が必要か。
許可申請、又は届け出先の指導に従う。なお、許可申請した産業廃棄物処理施設であれば「産業廃棄物処理施設変更許可申請」が義務付けられている。
【総論】利用の考え方 泥土圧シールド工法ではホッパー内で固化すれば建設汚泥とならないのか。
 「建設廃棄物処理指針」では質問のケースについては示されていないが、その判断は都道府県等に委ねられると考えられる。

制度編

【制度編】自ら利用 発注者が自ら利用を行うことはなぜできないのか。
厚生省通知「建設廃棄物処理指針」において、排出事業者は元請施工者が該当し、自ら利用できるのは占有者(排出事業者)と示しているためである。
【制度編】自ら利用 同一発注者の工事間でも施工者が異なれば自ら利用はできない、とのことであるが、どのような方法でリサイクルをすれば良いのか。
同一発注者の工事間のリサイクルには、有償売却、個別指定制度および大臣認定制度の3つの方法がある。
【制度編】自ら利用 自ら利用を実施するために法規上の手続が必要か。
「建設廃棄物処理指針」においては、「自ら利用」は廃棄物処理法適用外としているが、品目を指定したり計画届の必要な都道府県等の指導事例がある。従って、手続き等の有無を都道府県等の所管部局に確認する必要がある。
なお、ほとんどの都道府県等では「自ら利用」に関する手続き等は定められていないが、所管部局への連絡に当たっては、本指針に示された条件等に基づきリサイクルの計画を明示することが重要である。
【制度編】自ら利用 自ら利用において、建設汚泥の再生、運搬、保管は廃棄物処理法が適用されるのか。
建設汚泥のリサイクルとは一旦廃棄物となったものを改質し利用することである。従って、自ら利用の場合であっても改質のための処理施設は廃棄物理法の適用を受け、種類及び規模に応じて施設の設置許可が必要である。また、自ら利用は建設汚泥を有用物に改質して占有者が利用するものであり、改質された建設汚泥の運搬・貯蔵(ストック)は廃棄物処理法の適用外である。しかし、建設汚泥の改質を利用現場や外部の施設で行う場合、改質前の保管や運搬には廃棄物処理法が適用される。
【制度編】自ら利用 自ら利用において、ケースaとケースbの違いが分からない。公道を挟むとはどういう意味か。
ケースaとケースbは同一工事(工区)におけるリサイクルのケースであるが、ケースbは敷地内に公道があり公道を通って建設汚泥あるいはその処理土を運搬するケースである。そして、改質前の建設汚泥を公道を通って運搬する場合は廃棄物処理法の適用を受ける。
【制度編】自ら利用 自ら利用のケースcは廃棄物処理法上問題ないのか。また、留意すべきことは何か。
ケースcは同じ元請施工者のもとの異なる工事での利用に当たり、廃棄物処理法上問題はない。発注者が同じであれば、発注側の担当者間で協議しリサイクルの条件等を設計図書に明示することになる。また、発注者が異なる場合は、元請施工者が利用工事発注者の了承を得て、発生工事発注者に設計変更等として申し入れ、設計図書にリサイクルの条件等を明示してもらうことになる。この際に、両発注者の役割は本指針のp18~24に示すとおりであり、適切な情報交換及び協議が必要である。
【制度編】自ら利用 同一発注者の工事で複数工区がありそれぞれの工区で元請施工者が異なる場合、各工区の元請施工者が工事場所以外の土地に共同で中間処理施設を運営し建設汚泥を再資源化して利用することは自ら利用となるか。
排出事業者は元請業者であるため、各元請事業者がそれぞれ自ら再資源化して利用する場合のみ「自ら利用」となる。ご指摘のケースの場合、汚泥の処理施設を設置するにあたり、協同組合等法人格を持つ主体が廃棄物処理法の許可を受けとることになると考えられるため、「他者への委託」となると考えられる。
【制度編】自ら利用 自ら利用の場合廃棄物処理業の許可は必要ないと判断するが、正しいか。(旧24、51)
排出事業者(発生工事元請施工者)が現場内で行う中間処理は「自己処理」に該当し、廃棄物処理業の業許可は不要である。ただし、処理(保管、運搬、処分)については処分基準を遵守する必要があり、また、処理施設設置に際しては、その種類及び規模に応じて許可申請等が必要になる。
【制度編】有償売却 有償売却の場合手続きは必要か。
有償売却は廃棄物処理法の適用外となるため原則として手続き等の必要はない。しかし、工事間で土質材料等として利用する場合は都道府県等の所管部局に連絡・確認等を行うことをお勧めする。
【制度編】有償売却 有償売却の場合、価格は誰がどのように決めるのか。
価格の決定は社会通念上販売者が設定するが、工事間における有償売却の場合は販売者と購入者の協議により決まる場合もある。また、脱法的な有償売却とならないよう価格を設定する必要がある。正当な価格とは販売者が実質的に利益が得られる価格であり、一般的に売却代金が運搬料金を上回るものと認識される。
【制度編】有償売却 有償売却において契約あるいは残すべき記録等は何か。
本指針のp141~144を参考にされたい。
【制度編】有償売却 有償売却において 再資源化施設(中間処理施設)を経由するリサイクルの市場性の見込みは。
資源化施設の利用は、(1)高付加価値の製品の製造、(2)処理施設が設置できない小規模工事等ので発生する建設汚泥の処理という面から重要な意味を持ち、今後建設汚泥リサイクルの一翼を担っていくものと考えられる。
【制度編】個別指定制度 1つの自治体において1工事当たりの建設汚泥の発生量が少ないので、1年間に発生する建設汚泥をまとめて個別指定制度で利用することは可能か。
あくまでも個別指定制度は工事ごとに指定される制度であるため、原則として不可能である。
【制度編】大臣認定制度 大臣認定制度は現在高規格堤防のみに限られているが、その他に適用するのは難しいのか。
現在は高規格堤防の築堤材としての利用のみに限られる。今後、同制度によるリサイクルの実績が増え用途が拡大されることを期待する。
【制度編】大臣認定制度 大臣認定制度において、有害物質の試験の対象は処理前の建設汚泥か、それとも処理土か。
事前土質調査の段階では対象となる掘削地盤及び処理土について、また、施工段階では処理土について試験を行う。
【制度編】大臣認定制度 大臣認定制度において、加工業者(中間処理業者)が申請できるのか。また、その手続きはどのように行うのか。
本指針のp34に示すとおり中間処理業者も申請者になれる。その手続きはp35に示すとおりである。

技術編

【技術編】品質区分 コーン指数の測定において、低強度の土ではランマーによる25回の突固めを行うとほとんどの場合オーバーコンパクションになる。このような場合、突固めのエネルギーを小さくする試験でコーン指数の測定を行っても良いか。
改良土の品質判定は、25回の突固めによるコーン指数で判定することとなっている。したがって、25回の突固めでコーン指数が200kN/m2未満の場合は泥土と判定される。また、第4種処理土程度ではオーバーコンパクションを起こしやすいため、オーバーコンパクションに留意した施工が必要となる。
【技術編】品質区分 発生土の土質区分及び利用基準で粒度範囲が規定されているが、改良土及び処理土ではコーン指数だけで施工時の管理をしても道路路床、埋め戻し材としての品質は問題ないのか。
発生土の土質区分においても第2種~第4種改良土では粒度の規定はされていない。
基本的には建設汚泥は細粒分が主体である。
コーン指数は土質区分の指標であり、道路路床に使用する場合などは、規定のCBR値が確保できるか等の確認が必要となる。
【技術編】性状 プレスされた泥土は長期間、風雨にさらされたり、地山の水分によりもとの泥土に戻るおそれはないか。
盛土等に利用する場合は、覆土・敷土や十分な締固めを行えば元の泥土に戻ることはないと考えられる。また、利用前にほぐした状態で貯蔵(仮置き)する場合には、屋根、シート等により処理土を覆うなどの対策により品質の低下に留意する必要がある。
【技術編】性状 本指針は、加工砂等の製造から発生する泥状物の使用についても適用できるか。
このような泥状物は建設汚泥ではないので本指針の対象外である。性状は無機性の汚泥と同じと考えられるので、技術的には本指針の技術編を参考に改良することは出来ると考えられる。
【技術編】処理技術 気泡混合土工法、流動化処理土等に関する個別のマニュアルなどは有るのか。
「発生土利用促進のための改良工法マニュアル」監修 建設省大臣官房技術調査室、平成9年12月、発行(財)土木研究センターに気泡混合処理土や施工上の工夫に採用された工法の詳細が示されている。また、流動化処理工法に関しては「流動化処理土利用技術マニュアル」建設省土木研究所、平成9年12月、(社)日本建設業経営協会中央研究所、が発行されている。
【技術編】処理技術 軽量混合盛土の設計(擁壁等)に際し、気泡混合土の固化前と固化後とで設計上の留意点はなにか。
気泡混合土の固化前は流動性があるため、型枠や土留め壁には気泡混合土のまだ固まっていない土圧(液圧)が短期荷重で作用する。一方、固化後の土圧および安定の検討には固化後の強度や土圧係数を用いる。詳しくは「発生土利用促進のための改良工法マニュアル」(土木研究センター)等の文献を参照されたい。
【技術編】処理技術 焼成処理を行っている場所が東北にあるか。またコストはいくらか。
本指針(参考資料p151)に示すように、現時点では東北地方には焼成材製造依託先はない。
コストについては、参考資料p147を参照されたい。
【技術編】環境 処理によりpH値が高くなってしまった場合、低下させるにはどのような方法があるのか。
セメント系や石灰系などの固化材を使用した場合には、pHが高くなることがある。指針に示したとおり、セメントや石灰から発生するアルカリは土によって中和されやすい性質を持っているので、覆土、敷土等で対応できる。したがって有効利用する場合には特にpHを下げる必要はない。しかし、産廃処分等において処分場の受入基準でpH値が規定されている場合には、曝気(細かく砕いて空気にさらす)等で中性化を促進することができる。また、炭酸ガスによる中性化の促進も可能である。酸の使用も考えられるが、環境への影響を考えると問題がある。薬剤としては凝集剤として使用されている硫酸バンドの使用が考えられる。
【技術編】環境 セメントまたはセメント系固化材による処理土や自硬性汚泥のようなpHの高いものを再利用する場合の環境に対する数値的基準はあるのか。
土壌環境基準および地下水の水質汚濁に関する環境基準にはpHの基準はない。
ただし、表流水や透過水が周辺の河川や地下水に直接流入する場合などは、必要に応じてその水のpHを8.6以下にする必要がある。この場合も改良土のpHを低下させなくても、敷土・覆土により対策可能である。
【技術編】環境 アルカリ溶出水の魚類への長期的な影響があるのかどうか。また、魚の種類によってその影響度合いも異なってくるのではないか。
長期的な影響については不明である。
また、魚の種類によってpHの影響は異なると考えられる。指針に示した試験は、急性毒性試験に準じて行ったもので、すべての魚類での試験は困難であるため、最も一般的なひめだかを使用したものである。河川等で特殊な魚類が存在し、それへの影響を検討するのであれば、その魚種で試験を行うことが考えられる。
なお、建設汚泥の固化処理土を池や堀の底版に打設する場合のように、狭い水域で水中に使用する場合を除いてはpHの影響は一過性のものと考えられる。
【技術編】環境 焼成処理した場合、泥土に含む重金属等の溶出は変化するのか。
焼成温度や雰囲気では変化する可能性が有ると考えられる。使用に当たっては溶出の確認が必要な場合もある。
【技術編】環境 事前環境調査の具体例はどのようなものがあるのか。
建設汚泥の改良土を使用する場合に通常の調査に対して付加されるものには、周辺土壌の調査、地下水調査、地下水利用調査等がある。